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2007-04-10

会津、出逢いの旅、その1

栃木県鬼怒川まで来た。

昨日は初めて満開の桜を見た。青森から南下して、「どのタイミングで満開の桜を見るんだろうね。」と話をしていたが、こんなに遅くなるとは思っていなかった。暖冬だったので、3月末には東北の何処かで満開の桜の出逢うのではないかと思っていた。

4月に入り、会津では雪やヒョウが降った。桜のつぼみも未だ小さく、満開の気配は無かった。会津から栃木県に入り、標高が一気に下がり、桜に出逢った。

なんだか陽気が一気に春めいてきた。日本は小さな国なのに、山を一つ越えると様子が一変して面白い。

この1週間、またまた、沢山の出逢いがあった。

会津田島では、小林酒店に泊めさせて頂いた。

「田島に着いたら小林酒店を訪ねたら良いよ。」と、田島に入る前の町で休憩した「室井」酒屋さんのご主人に教えて頂いた。「室井」酒屋さんの店内に折り畳み椅子を並べて、僕ら4人は名物のところてんを頂きながら、あれこれとご主人との世間話を楽しんだ。

酒屋さんで休憩するなんて、田舎ならではのこと。東京が近づくにつれて、こういう時間が何時もより貴重に思えてくる。

田島は思ったよりも大きな町だった。野宿場所を探すのは難しそうだ。頼みの綱の小林酒店を目指す。


ご主人らしき人に事情を話し、宿を探している旨を伝えると、即答で了解して下さり、僕達をご実家の和室に通して下さった。夕方までの不安な気持ちが大きな安堵感と、ご主人への感謝の気持ちに変わる。意外とこの瞬間を味わえることが、この旅の大きな醍醐味なのかもしれない。

ご主人の小林さんは、酒屋の横にあるプライベートのカラオケボックス(本物と同仕様)に僕達を通して下さり、会津の美味い酒を飲みながら、もの静かな、丁寧な口調でお話を始めた。

小林さんは代々酒屋の裕福な家に生まれ、姉4人の末っ子。お父様が亡くなり、遺産相続の話になり、小林さん自身を含めた兄弟全員が相続を拒否して、資産よりも自由を求める中、長男の小林さんへの相続が決まり、已む無く酒屋を引き継いだ。

そんな人生の中で、画家の夢を棄てきれず、数年前、ニューヨークの美術学校と田島との3ヶ月毎の生活を3年間続けた。そんな生活の中で、ある日実家近くで釣りをしていた時に脳梗塞で倒れた。

今は朝五時起きで畑仕事をしながら、酒屋を経営する。奥さんは町唯一のお産婆さんで、酒屋の裏には助産施設のアパートがあり、僕達が到着した夕方も、丁度赤ちゃんが生まれたばかりだった。

規制緩和でコンビニでも誰でも何処でも比較的自由にお酒を売ることが出来るようになり、町の酒屋さんは非常に厳しい状況にあるそうだ。そんな中、自分で野菜を作り、質素な生活をする小林さんは淡々と日々の生活を楽しんでいる様だった。

「小林酒店のご主人だったら泊めてくれるんじゃないかな。」という町の人の噂を聞きつけて、旅人が訪ねてくることも多いそうだ。もの静かにしっかりとお話する会津の紳士にお世話になり、また元気を頂いた。(会津出逢いの旅その2につづく)

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